一般社団法人 まけんばい河原

住宅地内の道路が甚大な被害も
「私道」のため復旧の見通し立たず…

「グリーンヒル河原」のライフラインともいえる公衆用道路が寸断されたため、住民は現在、それぞれに避難生活を送っています。住民の願いは、「1日も早い道路の復旧」であり、「わが家に戻って暮らす」ことです。
ところが、住宅地内の公衆用道路は「私道」のため、行政や国の援助が受けられず、住民たちが費用を拠出し合って復旧を行うしかありません。とはいえ、道路の被害が甚大な上、各世帯の家屋・家財の被害や避難先での生活費なども考えると、とても自分たちで復旧の工事費を賄うことは出来ません。すでに地震から3カ月以上(7月中旬時点)が経過していますが、実はこうした状況に苦しみ、支援がなければ復旧の見通しさえ立たない方々が西原村やその周辺地域には、まだまだ数多くいます。

ネット募金の寄付金を
道路の復旧費用や地元農家や生産者の支援へ

そうした方々の声を代弁し、広く全国から支援を募るために立ち上げたのが、「一般社団法人まけんばい河原」です。「まけんばい河原」では、クラウドファンディングを利用して復旧費用の一部に充てるため、現在、「Yahoo!ネット募金」で寄付を募っています。
また同募金では、寄付者(支援者)に対して寄付額に応じた返礼品を送っています。返礼品は西原村や隣接する南阿蘇村などの農産物や加工品ですが、今回の地震ではそうした農家や生産者も大きな被害を受け、現在も事業再開のメドが立たなかったり、売上の回復が遅れているところが少なくありません。
「まけんばい河原」では、支援者への返礼品を通じて、全国の皆さんに西原村や南阿蘇村の産品の素晴らしさを知ってもらい、それをきっかけに被災地の農家や生産者と全国の消費者が継続的につながる〝出会いの場〟を提供することも、活動の柱の一つに掲げています。被災地の片隅の小さな活動かもしれませんが、このプロジェクトを通じて、一人でも多くの方に地震後の熊本の実情を知ってもらうだけでなく、熊本やそこで生み出される産品の魅力、素晴らしさを発信できればと思います。

西原村・南阿蘇村で頑張っているみなさんの声
西原村産落花生を使った豆腐を販売
「地震に負けるか」の想いで再起を目指す

地元、西原村産の落花生を使った落花生豆腐や、ごま豆腐などを作っていましたが、地震で2つある加工場のうち一つが被害を受け、生産量が半分近くに落ちました。そうした影響もあり、一時は通常の30%近くまで売上が減少しましたが、問屋さんを通して新たな販路を確保するなどして、ようやく以前の5割程度に戻すことが出来ました。
現在、被害を受けた加工場から使える機械を運び出したり、新たな加工場の場所探しを行っていますが、それ以上に深刻なのが原料の落花生を作ってくださる農家さんの状況です。ちょうど植え付け時期に地震が起こり、今年の収穫が見込めないところもあり、来年の材料確保を心配しています。
ただ、地震を理由にやめることは簡単ですが、それでは地震に負けたことになるようで悔しい。現状は決して楽ではありませんが、同じように被害を受けても「もう一度頑張ろう」としている西原村の仲間と一緒に、「何クソ、負けんぞ!」という気持ちでまた立ち上がります!

田舎想菜 楽や

http://www.gakuya-toufu.com/
電 話 096-279-4446
メール gakuya.4446@r3.dion.ne.jp

自然栽培の薬草・ハーブのお茶
店舗も畑も再開のメドが立たず…

農薬や化学肥料を使わず、草取りも行わない自然農法で栽培した薬草やハーブで作ったお茶の販売と卸を行っています。地震による土砂崩れで土砂が食事処と売店を兼ねた店舗に流れ込み営業出来なくなりました。一度は店内の土砂の撤去を行いましたが、その後の大雨で再び崩れ、水道も使えないため再開のメドは立っていません。また、薬草やハーブ、食事処で使う野菜を栽培している畑も被害を受け、生産もストップしたままです。
現在は同じ南阿蘇村内の仮事務所で、通販の対応や県内外の復興イベントで出す商品の袋詰めなどを行っていますが、売上は例年の半分以下で、用意できる商品の種類も通常の3分の1程度です。従業員の通勤を含め、店への主要なルートだった国道57号線の崩落によってアクセスが寸断されているのが、何よりのダメージです。

(株)阿蘇ハーブファクトリー

http://asoyakus.temporarydomain.net/
電 話 0967-35-1188

健康なニワトリが産む有精卵
売上回復のため熊本市内にも販売に

当法人で運営する障がい者支援施設「高森寮」では、一般企業への就労が困難な人たちへの就労の機会を提供する目的で、平成元年から養鶏業を行っています。2千羽のニワトリを広々とした鶏舎で放し飼いにしていてストレスフリーな上、雄鶏と雌鶏を同居させているので有精卵が産まれます。飼料も配合飼料を極力抑え、自家製のとうもろこしや牧草などを与えているため、安心・安全です。
 地震による寮の施設や鶏舎への被害は軽微でしたが、販売先だった高森町や近隣町村の宿泊施設や飲食店、パン屋・菓子店などの移転や閉店のほか、納品先に通じる道路が通れずに販売が出来ない状況です。そのため売上は、地震前の約半分まで落ち込みました。それでも卵は毎日産まれるので、現在は一週間に一度、熊本市内まで販売に出向くなど、少しでも売上が回復するよう努力しています。

社会福祉法人 高森寮

http://takamoriryo.jp/
電 話 0967-62-1780

オーガニックハーブの化粧品など販売
売上は10分の1に減ってもあきらめない!

オーガニック(無農薬)栽培したハーブを使ったハーブティーや化粧水・美容液、美容クリームなどのコスメ商品を生産・販売しています。地震後、5月1日から店舗の営業を再開しましたが、売上は例年の10分の1程度で、OEM(相手先ブランド製造)の商品を細々と製造・出荷している状況です。
南阿蘇村に点在する当社の田畑は、地震の影響で用水路が壊れて水が来なくなったり、6月以降の大雨の影響で土砂が流れ込んだりして、今年の作付が出来ないところもあります。復旧作業を進めようにも秋の台風シーズンも控えているので、今はそのままにしておくしかないのが実情です。また、被害のなかった田畑の持ち主に栽培を頼んで、材料を確保することも考えましたが、オーガニックの認定にはさまざまな条件があるため簡単ではありません。しかし、年内中にトンネルが崩落し不通になっている俵山バイパスが開通するという明るいニュースも入って来たので、それまであきらめずに頑張ります!

南阿蘇オーガニック株式会社

http://www.miryoku-aso.co.jp
http://midorikaoru.com
電 話 0967-65-8150

北九州から移住し米や野菜を栽培
大変な状況の中でも気持ちは前向きに

6年前に勤めていた自動車会社を辞め、「もっと人間的な仕事がしたい」と南阿蘇村に移り住んで、無肥料・無農薬にこだわった自然農法を始めました。土づくりからはじめ、米や麦、大豆、玉ねぎ、じゃがいもなどを栽培し、最近ようやく収穫が見込めるようになった矢先の地震でした。田畑の被害だけでなく家も半壊し、今も避難生活を送っているので、田畑はたまに様子を見に行く適度しか出来ません。また、田んぼに水を引いていた近くの水源が地震で枯れてしまい、水はわずかな湧き水でまかなっています。
 商品の多くは、個人の方への予約販売でしたが、今は出荷できる商品もほとんどなく無収入に近い状態です。先々のことを考えると大変ですが、私は命を落としたわけでもケガをしたわけでもないので体は動かせます!また土づくりからやり直す覚悟で、これからも南阿蘇村で頑張っていきます。

無肥料・無農薬 宇都宮自然農園

〒869-1404 熊本県阿蘇郡南阿蘇村河陽171-16

米/麦/大豆/小豆/玉ねぎ/じゃがいも/にんじん/玄米餅/椎茸など